2年ぶりに谷村光男を演じてみて、いかがですか?

ゲームに参加せず、別室でモニターを眺めているという立場は難しいですね。撮影もプレイヤーとは別なので、脚本を読み込んで自分が置かれている状況を把握しなければならない。会場でゲームがどれだけ盛り上がっているか、プレイヤーがどれだけ白熱しているかを自分の中でシュミレーションしながらリアクションをするので想像力の勝負になります。すべてわかっている松山監督に説明してもらい、指示をあおぎながらやっていますが、やはり大変です。会場に足を踏み入れる機会がないのも寂しいですね。美しい吉瀬さんと一緒であることが唯一の救いです(笑)。

『シーズン1』のインタビューで、「事務局員=悪い人とは思わない」と話していましたが、今の谷村をどう思いますか?

その意見は変わりませんが、谷村が良い人か悪い人かというのは微妙ですね。谷村は事務局員ではあるけど、エリーのように理念を持ってやってる人とは違い、使われているだけのいわばバイトみたいなもの。小銭稼ぎでゲームにたずさわっているような小悪党かなと思います。

谷村に変化は感じますか?

以前は、プレイヤーと視聴者の間に立つフィルターみたいな役割だったと思うんです。でも『シーズン2』になって、フィルターというより谷村なりにゲームに参加しているんだと感じるようになりました。

それは、どういったところで感じるのでしょう?

前はただの傍観者だったのに、今はそうじゃなくなってきてます。ゲームが進むにつれテンションが上がってエキセントリックになってきました。劇中では描かれてないけど、きっとギャンブルが好きでゲームに入り込んでるんだと思います。その熱さは出していきたいと思っています。僕も役としては傍観者であるよりゲームに参加した方が楽しいだろうなと思います。あくまでも役者としてですが、秋山や葛城や福永に翻弄されたい気持ちはありますね。

ご自身で参加したいとは思いませんか?

僕は小心者で、危険なことには手を出さず、自分でストップをかけて危ない橋は渡らずに生きてきた方なんです。人生で危ない橋を渡ったのは、役者の世界に入ったことくらい(笑)。ゲームに参加している人は、明らかに橋を渡るタイプ。回避してきた僕には無理ですね。

ゲームに翻弄されるプレイヤーを、渡辺さんはどう思いますか?

自分は参加する勇気がないので、参加しているというだけで“負のかっこよさ”を感じます。たとえ勝負に勝てなくてあがいていても、借金を背負うことになって泣いていたとしても、です。作品の魅力の1つに、視聴者の方が自分では参加したくないけど、人がやるなら見てみたいという気持ちがあると思うんですが、僕も同じです。

谷村は直や秋山をどう思っているのでしょうか?

谷村自身は気付いていないけれど、直や秋山に対する見方は変わってきてると思いますね。それは直のピュアな人間力にやられているのかもしれません。そもそも谷村は過去にいろいろあって、“人間は悪いものである”という信念で生きてる人。直に対しては、最初はこんなバカ正直で世の中を生きていけるわけがないと小馬鹿にしていた。でも、そのバカ正直さが人の心を動かし、ゲームに勝っていくのを目の当たりにして戸惑いが出てきた。一方、秋山は過去に痛い目にあっているという意味では谷村と似ている。同じ痛い目を経験しているのに、秋山の方が生き方としてかっこよくて、それは谷村もよくわかってるんです。だからこそ潰れて欲しいという気持ちが大きくなってる気がします。

渡辺さんが感じる「ライアーゲーム」の魅力とは?

『シーズン1』で独特で斬新な世界観を作り上げ、好評を得て『シーズン2』や映画化が決まったのは素晴らしいことで、そこにまた参加させていただけたのは僕も素直に嬉しい。でも好評だっただけに、続けるのは大変だったと思うんです。それでも松山監督は“攻めの人”で、どんどん実験的なことを繰り出していく。役者として、自分ももっと攻めなくちゃなと思わせられます。年を重ねるとつい忘れがちになってしまう熱さを思い出させてくれる現場です。

渡辺さんは映画『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』にも出演されていますが、ファイナルステージにおける谷村の見どころは?

今までとスタンスは変わりませんし、谷村が矢面に立つようなことはないけれど、終盤では気持ちが意外な方向に展開していきます。それは谷村自身が望んでいたことなのかが問われる、非常にヒューマンな部分にいきつくんです。それが非常におもしろいなと感じました。