「私が監督になってから、2回失敗していますので、『3度目の正直』という気持ちで臨みます。」
9月、駅伝シーズンにむけての最後の合宿中、渡辺康幸監督はそう言った。
昨年・一昨年の出雲駅伝。
早稲田は1区で出遅れると、その流れを変えられないまま、2年連続で二桁順位に沈んだ。
箱根駅伝では2年連続総合2位と、復活をとげてきた名門も、出雲では苦戦が続いている。
しかし、渡辺監督はもちろん、選手も、はっきりと自覚している。
「エンジのW」の伝統を継ぐ者として、もう同じ失敗は繰り返せないと。
今年は、北京五輪に出場した大エース・竹澤健介が卒業。
その大きな穴を埋めるべく、選手一人一人が高い意識で強化をはかってきた。
キャプテンの尾崎は、関東インカレ・ハーフマラソンで日本人トップの2位。
1年生ながら箱根駅伝に出場し、1区区間賞の矢澤、7区区間2位の八木は、2年生になり、トラックで自己ベストを更新するなど、春から夏にかけて、順調に力を伸ばしている。
同じ2年生では、ソウル・バルセロナ五輪マラソン代表の中山竹通氏を父に持つサラブレット、中山卓也も合宿で調子をあげてきた。期待の大器が、大学駅伝デビューとなるか?
さらに、去年の全国高校駅伝を大会記録で制した佐久長聖高から、佐々木・平賀という即戦力ルーキーも加入し、エントリーメンバーに入った。
「チームの総合力は去年より上がっている」と、監督をはじめ、選手全員が実感している。
「エースやつなぎという区間の区別はしない。各選手が自分の役割をきっちり果たし、チーム力で勝負する」というのが、今年の早稲田の共通意識。
逆に、一人でも失敗することは許されない。
ここ2年、失敗の要因となってきた1区に関して、渡辺監督は、「一番いい選手を置く」と断言。
去年1区を走り、出遅れの原因となった八木も、「絶対に結果を残す」と人一倍強い決意でリベンジの舞台に臨む。
シーズン最初の出雲駅伝で「3度目の正直」となる結果を出せば、チームは勢いに乗る。
それはきっと、箱根駅伝での「3度目の正直」にもつながるはず…。
誰かに頼るのではなく、全員が実力を出し切れば、勝てる。
伝統校が、「総合力」のチームとして、新たなスタイルで王座を目指す。