「第1回東京マラソン王者、ダニエル・ジェンガ選手の走りに、自転車でついていく!」
ジェンガ選手の練習取材が決まったときに、僕が考えた目標。
当初は、15kmの距離走をやるということで、
他の選手の場合と同様、カメラクルーと一緒に車での併走をお願いしようとした。
しかし、走るコースを知り、それが不可能であると気づく。
埼玉県のヤクルト陸上部寮近くにある公園内のサイクリングコースだったのだ。
しかし、取材記者としては、すんなり諦めるわけにはいかない。
そこでトライしようと思ったのが、上記の自転車での併走だった。
当日、少し早めに公園へ行き、コースを下見する。
湖をまわる1周4.6kmの周回コース。
スタートしてから1kmすぎまでは平坦だが、その先に、湖の反対側へ行くところで、
2度アップダウンがある。
自転車では、立ちこぎをしないと厳しいくらいの上り坂。
このときは、「この坂は、走るのも大変だろうな」と、のん気なことを考えていた。
寮から走ってきたジェンガ選手にあいさつをし、ウォームアップを見守る。
そして、いよいよ勝負の時が来た。
「行きます」という声とともにスタートしたジェンガ選手。
僕もすぐに自転車にのり、追いかける。
しかし、東京マラソン初代王者は速かった。
ジェンガ選手がスタートしたあと、僕が自転車をとりにいき、またがって走り出すまで十数秒。
その間にずいぶん先に行ってしまっていたのだが、
それが完全に命取りになった。
追えども追えども、ジェンガ選手には追いつかない。
必死でペダルをこぐことおよそ1km。
やっと横に並んだ。そして少し前に出る。
「なんとかいけるか…」そう思ったのもつかの間だった。
待っていたのは、下見のときよりも急になったように感じられる上り坂。
そこまででかなりの体力を使ってしまった僕は、立ちこぎにしても力が入らない。
震える足。激しくなった呼吸。限界に近いほどあがりきった心拍数。
ふと気づくと、視界をよこぎる人影が…。

ジェンガ選手にあっさりかわされた。
抜かれる選手は、こんな気持ちなのだろうか。
軽やかな足どりを見て、「勝てない」という絶望的な感情が生まれた…。
結局、併走したのは1周目のみ。
以降は逆まわりをして、ポイントごとで見るという方向に、予定を変更した。
(写真は、疲れきって認識が甘かった自分に苦笑いしながら
ゴールへたどり着いたところです。)

取材後、近くの中華料理店で昼食。
チャーハンと餃子を頼む。
ジェンガ選手も好きだというだけあって、とてもおいしい。
運動後の食事は、やっぱりいいものだと気を取り直して会社へ帰った。
王者の速さを体感し、認識を新たにした。
無謀だった自分を反省しつつ、
筋肉痛の恐怖を感じながら、これを書いています。
最後に、そんな自分と一緒にがんばってくれたカメラクルーのお二人、
本当にすみませんでした。ありがとうございました。

