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柳本のシナリオ第三章は
メダルへの大いなるステップとなる!

 日本代表の「誇り」を胸に、柳本JAPANが帰ってくる。
 2003年、新たに結成された柳本JAPANは、秋のワールドカップを経て、翌年のアテネ五輪で2大会ぶりのオリンピック出場を果たした。北京五輪でのメダル獲得を目標にした柳本JAPANにとっては、シナリオの第一章を筋書きどおりに終えたと言っていいだろう。そして昨年、“北京”へ向けてシナリオ第二章をスタートさせたが、その道のりは決して平坦ではなかった。吉原、辻、佐々木など前年まで全日本を支えてきたベテラン選手が去り、若手の代表格・栗原はケガで欠場、大山や木村も故障のため前半戦を棒に振った。そんな緊急事態の柳本JAPANを救ったのは、竹下、高橋みゆき(以下、高橋(み)と略)、杉山、宝来、菅山らチームの中間世代である。新キャプテンとなった竹下は、変幻自在のトスを上げチームをまとめた。高橋(み)は、昨年のワールドグランプリでベストスコアラー賞を獲得。アテネ五輪で控えに甘んじた杉山が日本一のスピードで敵のブロックを翻弄し、宝来も日本一の高さで強烈なスパイクを止めた。そして、一躍脚光を浴びたのが“カオル姫"こと菅山だ。小柄ながらジャンプ力を生かしたシャープなスパイクと、魂のこもったレシーブでチームを鼓舞。柳本監督が提唱した「変化とスピード」のバレーを実践し、ホスト国としてではなく、地力でワールドグランプリ2005予選ラウンド突破した。

 今年、“シナリオ”はいよいよ第三章に突入した。東京―ソウル―岡山と転戦するワールドグランプリ予選ラウンド3週で、柳本JAPANが日本中のバレー・ファンにどんなマジックを見せてくれるのか? 気になるのは以下の三つのキーワードだ。
 一つ目は「サイドアタッカーの充実」。昨年のワールドグランプリでは従来リベロの菅山、吉澤を起用するしかなかった(嬉しい誤算ではあったが)。しかし、今大会は大山の復活をはじめ、久光製薬の躍進(黒鷲旗日本選手権、日韓トップマッチ優勝)を支えた落合と小山の存在、イタリア修行から帰ってきた高橋(み)や菅山も加わりサイドアタッカー陣の層が厚くなった。特に代表初選出の小山は陸上のハイジャンプで鍛えた驚異的なジャンプ力を生かしたバックアタックが魅力だ。また、全日本に久しぶりに復帰した落合は、6月のヨーロッパ遠征でもスタメン出場し安定感のあるプレーを見せている。昨年までの「高さとスピード」に「ダイナミック」さがプラスされたと見ていいだろう。
 二つ目は「セッター陣の改革」だ。5月にスタートした強化合宿から、182cmの長身・木村がセッターの練習に取り組んでいる。昔から必要性が叫ばれ続けている大型セッターの育成に、柳本監督がいよいよ着手したようだ。さらに木村と同様にさまざまなポジションをこなせる高橋翠(以下、高橋(翠)と略)を初選出。ヨーロッパ遠征では木村―高橋(翠)のツーセッターも試みており、柳本JAPANの要だった竹下のワンセッターにプラスして、このツーセッター、そしてベテラン・板橋のトスワークが加われば、攻撃パターンは幾重にも広がっていくことになる。
 三つ目のキーワードは「−2(アンダーツー)」。柳本JAPANのウィークポイントは接線に弱いことだ。昨年、相手からあと2点奪っておけば勝利につながったケースや、あと2点ミスを防げていたら勝てたケースが多々あった。相手からあと2点奪うこと、相手の点数をあと2点抑えることができれば勝利につながる。そうすれば、ここ数年保ってきた世界No.5から2つ順位をあげて、トップ3に入ることができる。チームの共通認識として、柳本監督が掲げたのが「−2」だ。
 2008年北京五輪へ向かって「進化する魔女たち」。柳本JAPANの今後を占う意味でも、ワールドグランプリ2006は見逃せない大会になるだろう。